宮城慧【秘蜜】シリーズ短編

手を出したのは慧《さとる》

足を踏み入れたのは桃果《ももか》

 

 

 

S♂→M♀調教

 

 

淫猥な蜜

淫靡な情

快楽遊戯

 

 

 

「慧、最低!」

「桃果は嫌いな奴なら口も聞かないだろ。でも俺には嫌味だの文句だの」

「……っはやく、終わらせてよ……!!」

「桃果がおねだりすれば、俺はその体にSEXという快感を教えてやるよ。……イヤというほどな」

「……っ」

 

 さぁ狂い咲かせてやろう

 その淫らな桃の花びら

 甘美な果実

 桃の蜜は実に

 美味そうだ―――。

 

「慧、最低!」

 

 放課後。

 慧は校内で友人と「高校生の性について」つまりSEXについて真剣に話していたところ、通りすがりに一言吐き棄てられた。

 ゆるい巻きのかかった長い髪を揺らし、ミニスカートから伸びる細い素足に、注目を集める女子生徒。

 肉感的な後ろ姿に、男子生徒たちはどよめく。

 

「桃果って、やけに慧につっかかるよな。お前ら小学校から一緒だろ?」

 

 廊下で座りこむ集団の中、窓に手をかけ、一際存在感を放つ短髪長身の男子生徒。

 桃果の言葉に気を止めず笑う、宮城慧。

 

「ハハ。俺の“来るもの拒まず”が気に入らねんだろ」

 

 悪いことをしてる訳ではない。

 誰だって興味が無いはずない、本能に従っているまでだ。

 桃果はそういったことを毛嫌いしてるようだが……。

 

「森下桃果ねぇ。顔もスタイルもいーけど、気ィ強えからなァ」

「そこがいーよな。俺、桃果に罵倒されて踏まれたいもん」

「うわっ!! 慧、こいつマゾだよ!!」

「あー、マサのマはマゾのマだな」

 

 次の議論はSM方面に向かいそうだ。

 

“ご主人様と下僕”

“覇者と従者”

 

 慧にも興味があった。

 そして、それを現実にする機会はすぐに来た。

 

 慧が駅構内でそれを見かけたのは、本当に偶然だった。

 胸の開いたTシャツにキャミソールを重ね、制服より短いスカートに、つけまつげやアイラインとメイクにまで気合いが入っている。

 

「……桃果?」

 

 高いヒールに慣れない足取りで電車に乗る桃果に、慧は思わず隣の車両に乗り込んだ。

 友達には「遅れる」とメールをし、桃果の降りた駅で慧も続く。

 何となく、どんな男と会うのか興味を持っただけなのだが。

 人でにぎわう南口に現れたのは、往来の場で腰に手を回す中年男。

 桃果はうつむき加減で、表情が強張っている。

 明らかに彼氏ではない。

 慧は駆け寄って桃果の手を引き、サラリーマン風の男に詰め寄った。

 

「おい。女子高生に手ェだしてナニする気だよ、このエロオヤジ」

「え……慧!?」

「な、誰だ君は……女子高生!? 確かメールでは大学生と……」

「はーん。出会い系か。警察でも呼ぶか」

 

 慧が携帯を手にしてみせると、男はあわてた。

 

「ま、待て、私は何もしてないよ、その子に誘われただけなんだ!」

「はぁ?」

 

 桃果を見ると、その隙に男は人混みに紛れて逃げ去った。

 

「チッ」

 

 男が消えた方向を睨む慧に、桃果は怒りをぶつける。

 

「ちょっと慧、余計なことしないでよ!!」

「なんだ。助けたのに礼もナシか」

「助けてなんて言ってないでしょ!!」

「でもオマエの手、震えてるぞ」

「……っ!!」

 

 桃果がつかまれたままの腕を引くが、慧は離さない。

 

「その様子だと、出会い系とか初めてだな。金か? 男に飢えてんのか?」

「いーじゃない、ほっといてよ! 慧には関係な……」

「桃果が心配なんだよ!」

 

 自分を凌ぐ大声の叱咤に、桃果はおされる。

 

「ハメ撮りでもされてAV出演したいのか? 脅迫されても文句言えねーぞ!」

「ちょっ……やめてよ人前で……」

「アイツが犯罪者だったらどーすんだ! 監禁されても殺されても、みんな誘った桃果が悪いってことになる」

「……そんな、私、そんなつもりじゃ……」

「あのオヤジがイイ奴なんて言い切れるか? メールやりとりだけなんだろ、もっとよく考えろよ!」

「……っ…!!」

 

 桃果は見ず知らずの他人と接触する危険性に、やっと気付いた様子だ。

 慧にしっかりとつかまれた腕に、自分の無事を自覚すると、気のゆるんだ桃果はその場に泣き崩れた。

 

「……うわぁぁあーん!! だって慧、私っ……!!」

「バカだな。もう大丈夫だから」

 

 多くの人目の中、慧は子供をあやすように桃果を抱き締めた。

 泣きじゃくる桃果の背中を、「大丈夫」と何度も繰り返しながらポンポンと叩いていた。

 そして帰りの電車の中、泣き晴らした目の桃果に、慧は思い出し笑いをした。

 

「小さい時、桃果はよく迷子になって泣いてたな」

「あれはっ……小2の時でしょ……」

「その頃から方向音痴だもんな」

「……それで、いつも慧が私を見つけたんだよ……」

「桃果の行きそうなとこは分かりやすい。単純だから」

「もぅっ……」

 

 慧と久しぶりに普通の会話をする。

 

「俺の部屋、寄ってくか? そんな顔で帰ったら、おばさん心配すんぞ」

 

 そう言った慧に素直に従ったのも、桃果の中に信頼が戻ったからかも知れない。

 そして二人の長い一日が始まる――。

 

「で? なんで出会い系なんかやってたんだ?」

「……」

 

 桃果はクッションに正座し、部屋を見渡す。

 小学校以来、久しぶりに入った慧の部屋はかなり様変わりしていた。

 ロフトベッドに勉強机とパソコンしかなく、随分と殺風景だ。

 ベッドを見上げれば黒い羽毛布団があるようだったが、直視できなかった。

 

 ……あのベッドで

 何人の女のコが

 慧と……

 

「おい、聞いてんのかよ」

「……」

「シカトかよ。あ~あ、明日学校で皆に桃果のことバラしたら驚くだろーな」

「……ちょっと、脅す気!?」

 

 強気の視線を投げかける桃果。

 

 分かってないな……

 桃果は俺に

 借りを作ったんだ

 

「脅しじゃねーけど。俺、ちょっとやってみたいことあんだよね」

「な、何……」

 

 警戒して後ずさる桃果に、慧は無邪気に笑う。

 

「毛。剃らして」

「は?」

「剃毛。パイパン」

「な……っ、バカじゃないの、何言ってんの!!」

「あっそ。じゃー明日の話題は出会い系……」

「やめてよ!! ひどいよ慧、さっき偉そうに説教したくせに……っ!」

「そう。言ったろ……気をつけろって」

 

 男の部屋に入った桃果が悪い。

 

「……剃る、だけ……?」

「ああ、……たぶん」

「たぶんて何!? 何もしないでよ!? ……剃ったら、内緒にしてくれる……!?」

「ああ。内緒にするよ」

「……なら、いいよ……やる……」

 

 顔を真っ赤にして頷く桃果は、「たぶん」と言ったのに実行しようというあたりに隙がある。

 それとも、それ以上があっていいのか。

 慧は口元がゆるむのを抑える。

 

「まぁ待て。剃るのは俺だ」

「え!? やだよ、危ないし、それに……っ」

「いーから。準備するから待ってろ」

「~~っ…」

 

 一度部屋を出て、洗面所から戻った慧が手にしていたのは、カミソリだけではなかった。

 

「なに!? やだっ……いや、やめて!!」

「桃果が逃げないようにな。いいだろ」

「……に、逃げないけど……!!」

 

 桃果の両手を上げさせ、ロフトベッドのスチールパイプに紐で縛る。

 

「いい眺めだな……」

 

 自分の部屋で、幼馴染みがベッドに手を縛り付けられている。

 この状況だけで、慧は軽く興奮を覚えた。

 

「じゃー脱がすか」

「……!! いやっ……!!」

 

 ミニスカートに伸びた手に桃果が蹴りかかり、それを掴む慧。

 

「……足も縛るか」

「――っ!!」

 桃果の後ろに置いた椅子に、その両足を肩幅ほど開かせて縛る。

 

「……やっ、こんなの……」

 

 思った以上の屈辱を与えられ、桃果は後悔した。

 しかし、もう遅い。

 慧は桃果の抵抗のすべを奪い、スカートを降ろしてしまう。

 

「……っ……!!」

 

 そして下着に至っては、ゆっくりと膝まで降ろされる。

 

「ふーん……」

 

 ……見られて……る……!!

 

「……っはやく、終わらせてよ……!!」

 

 震えながら涙と羞恥をこらえる桃果に構わず、慧はシェービングクリームを薄い茂みに塗りつける。

 

「冷たっ……」

「動くな。お肌に優しい弱酸性の泡だから」

 

 カミソリが当てられ、心拍数が上がる。

 

「……っん……」

「くすぐったいか? 危ないから動くなよ……」

 

 片手で内股を抑え、慧はゆっくりと桃果の薄毛を剃っていく。

 

「っひ、ぁ……」

 

 かすかに慧の息がかかるたび、カミソリが毛を剃る感触が伝わるたびに、桃果は恥ずかしさと、くすぐったいのとで身じろぐ。

 慧は手を動かしながら質問をした。

 

「桃果。オマエ、俺が嫌いか?」

「……嫌い……。中学の時から、女の子と遊びまくってたし……」

「それで嫉妬かよ」

「は!? そーじゃなくてっ……」

「桃果は嫌いな奴なら口も聞かないだろ。でも俺には嫌味だの文句だの」

「そ、それはただ……」

「自分で気付かないだけじゃないのか? 本当は俺が――」

「うぬぼれないで!!」

「気になるんだろ。俺のこと」

 

 手を止め、自分を見上げる整った顔立ちに、桃果の心臓がはやる。

 慧はまず、精神論から入ろうとしていた。

 桃果の心理的に迫る。

 

「ちがっ……」

「違うか?」

 

 当たりでも外れでもどちらでもいい。

 言いくるめられるかどうかだ。

 

「顔赤いぞ」

「違うからっ……これは」

「意地っ張りだな。でも桃果が相変わらず、いや、どんどん可愛くなるから、俺は他の男の目線が許せなかった」

「……え、慧……」

「でも今は俺がこうして桃果を汚している。……俺だけが、桃果を」

 

 慧は再び視線を落とす。

 猟奇的にも見えるその目の前には、あらわにされていく桃果の秘部が――。

 

「――っ…!!」

 

「まだ全部剃ってねーぞ」

「……やだっ、――あっ!?」

 

 慧は縛っていた右足の紐を解いて開放し、太ももを自分の肩に乗せる。

 

「ぃやぁっ、……やぁああ!!」

「動くな。切れるぞ」

「ひぅっ……」

 

 丁寧に全てを剃ろうとする慧には、……もう全てを見られているだろう。

 冷たいカミソリが桃果の恥部をそっとなぞり、泡を削っていくたびに、桃果の大事な所がむき出しにされる。

 カミソリは何度も桃果をなぞり、慧の視線を自由に這わせる。

 

 ……見られるとか話が違う

 もうヤだ

 早く終わって……!!

 

「桃果」

「なにっ……、まだなの!?」

「桃果のココ」

「……もう見ないでよぉ!!」

「触りたい」

 

 ……触る!?

 

「は!? いやっ!!」

「舐めたい」

 

 ……な、舐め……!?

 

「や、やぁっ……」

 

 慧に、そんなこと

 されるなんて……!

 

「桃果」

「な、にっ……」

「桃果の花びらから、蜜がにじんできてるぞ」

 

 ……花? 蜜?

 ――……!!

 

「……いやぁあああ!! ……うそ、……うそ……!!」

 

 泣きそうになりながら首を振る桃果。

 

「桃果。オマエ処女だろーけど、オナニーはしてるだろ」

「……っ!? ……な、んで……」

「剃られて興奮したんだろ。いつもは自分で触ってる所を、この俺に見られて剃られて……」

「やめてよっ!!……」

「ほら、また愛液が滲んできた」

「やっ……もぅ、やぁあっ……」

 

 慧に覗き込まれ、ついに桃果は泣き出す。

 図星だった。

 自分で触れたことは、ある。

 でも数回しか……したことはない。

 

「……ひどい……剃るだけって言ったのに、ひどいよ……!!」

 

 プライドをズタズタにされた桃果は泣き崩れた。

 ……そう、確かに桃果は欲情していた。

 恥部を露出させられ、陰毛を剃られ、浴びせられる慧の言葉に、……慧の、罠に。

 

 羞恥。

 不安。

 屈辱。

 

 建前やプライドや嘘を削ぎ落とし、理性という心の壁を壊していく。

 一番手っ取り早い手段は、劣情を煽ること。

 最後に残るのは人間の本性である本能。

 それが慧の狙いだった。

「ま、俺からは手を出さない約束だから」

 

 慧は桃果の足を降ろして立ち上がる。

 

「桃果がおねだりすれば、俺はその体にSEXという快感を教えてやるよ。……イヤというほどな」

 

 真っ直ぐな眼差しに、桃果はビクリと震えた。

 慧に、SEXの快感を与えられる……イヤというほど。

 体の芯で淫情が鼓動する。

 溢れた熱いそれは、太股を伝い落ちていく。

 

「……っ……」

「おいおい、また濡れてんじゃねーか」

「……ひっ……く……」

 

 羞辱の拷問に、桃果はうなだれる。

 

「やべぇな、桃果……」

「……っ…?」

「俺は桃果が欲しくてたまらねぇ」

 

 桃果はその時、初めて気が付いた。

 慧の股間の屹立に。

 どん底まで突き落とされたと思っていた。

 けれど自分のこんな姿を、慧は「可愛い」と言った。

 その証拠に、欲望をそそり立たせている。

 ……求めているのは、自分だけではない……。

 ここまで来たら、もうそれ以下はない。

 桃果は首をがっくりと落とし、うなだれた。

 

「……し、て……」

「なんだ?」

「してよ……お願い、もうつらいよ……!!」

「つらい? 俺に何をどーしろと?」

 

 ……そこまで言わせる気なのかと、慧を見据える桃果。

 が、相手はただ不敵な笑みを浮かべて続きを待っている。

 何が正解かは分からない。

 それでも、はっきり言うしかない。

 

「……慧と……えっ……ちが、……したい……!」

 

 声を震わせ、桃果は言葉を振り絞った。

 もっと突き詰めて下品な言葉を言わせてもよかったが、とりあえず。

 

「可愛いから、合格」

 

 慧は相手の唇に人差し指を当てると、頬を紅潮させてキスを待とうと目を閉じた桃果の口の中に、そのまま指を捻じ込んだ。

 

「んっ……は、……んぅっ……!?」

「舐めろ。歯は立てずに舌で愛撫するんだ」

「ん、んっ……!」

 

 訳が分からず困惑した桃果だったが、これもSEXの一環なのかと素直に従う。

 と、慧が片手で桃果のシャツを捲り上げた。

 

「――!!」

 

 ブラの上から左胸を掴み、やんわりと揉みだす。

 

「……ふ、んぁっ……慧……んンっ……」

「サボるな。しっかり舐めろ」

「んん、……は、んっ……んっ……!」

 

 慧は下着の上から桃果のふくよかな感触を楽しむと、それに飽きたらずに下着をずらし、今度は直接、指と手の平で乳房に触れる。

 

「ん、ん……ぁ……!」

 

 恥ずかしさのあまり、ひるむ桃果だったが、舌を動かさないと人差し指に責められ、仕方なく舐める行為に気を移す。

 が、慧の愛撫は次第に乱暴になり、桃果の乳房は慧の思うがまま形を歪ませる。

 

「ぁ……あっ……は、んんっ……んっ……!!」

 

 中央の桃色の突起は放置されていることに、桃果の体が気付いて焦れる。

 

「勃起してるぞ、桃果の乳首」

「……やっ、ん……ぁ、……ふぁ、ああっ……!」

 

 慧の指が乳首をつついた。

 自由に転がされ、捻られては、また硬くなる。

 

「ぁ、あっ……んぁっ……!」

「コッチを忘れるな。ちゃんと舌を動かせ」

 

 冷淡に言い放ちながら、慧の手は右胸に移る。

 

「ぁあっ……く、んんっ……!!」

 

 胸の尖端を摘まんだまま乳房を揉まれ、桃果は指に舌を這わせようとすることもままならない。

 それでも呼吸を荒らげながら、文句も言わずに指を舐め……いや、文句など言えなかった。

 慧の指がそれをさせない。

「ただ舐めるだけじゃない。指を吸ったり、舌先やその全体をちゃんと使い分けろ。いいか、例えば……」

 

 慧は手本を示すために、乳房の上で桃に色付く突起に口付けた。

 

「っ、ぁ……っ!!」

 

 やんわりと唇で噛み、舌を尖らせ強弱を付けて転がし、舌全体で舐めまわす。

 

「ぁあっ……ゃ、やっ……あああ……!!」

 

 吸いあげ、口内で軽く圧迫しながら舌で嬲る慧に、桃果は自分の役割を失念する。

 

「ひぁ……あ!! ……ん、っ……ぁ、ぁあっ……!!」

「やってみろ桃果。されて感じたことを再現してみろ」

 

 他人に、慧に初めて自分の体を触れられ、その感覚に不慣れなままなのに。

 慧の指を舐めることにも集中しなければならない。

 桃果は仕方なく、言われた通り指に吸い付きながら舌を這わせる。

 

「そう。丁寧に愛撫するんだ」

「んっ……ふ、……んんぅっ……」

 

 慧からの刺激を受け、悔しさから同じ刺激を慧に与えられるように、桃果は必死で対抗する。

 それでも左右の胸に受ける指と舌の攻撃に、戦意を喪失してしまう。

 

「んんぅっ……ぁ、ぁっ、ぁあっ……んぁああ……っ!」

「……分かるな。唇と舌にも色々な使い方があるから……って聞いてんのかよ、桃果」

 

 慧の講義を活かせず、桃果はぐったりとしている。

 

「まだ胸しかイジってねーのに、感じやすいな桃果は。縄が腕に食い込んでるぞ」

 

 桃果の体重がかかり、手首には赤い跡がついている。

 明日、学校で何と言い訳する気だろうか。

 

「はぁっ、はっ……、取って、くれる……の……!?」

「だめだな。次は桃果の恥ずかしい所にイくから」

 

 下降する慧の目線に、桃果は下半身に熱い飢えを感じた。

 慧は、濡れた指を桃果の唇から首筋に、胸に這わせる。

 

「……っ…」

 

 肌を伝い、脇腹、足の付け根と這う指が向かうのは、桃果の淫泉。

 覆い隠していた毛を剃られ、だらしなく熱い蜜を垂らすのを隠せないでいる下の唇を、指で一撫でする。

 

「……ぁ……ああ……っ……」

 

 慧は床に膝を付き、桃果の脚を開かせる。

 

「ぁ……慧……っ……」

 

 尻込みする桃果に構わず、淫唇を押し広げる。

 桃の花びらは透明な蜜で光り、見つめられる羞恥にさらに蜜をこぼし、滴り落とした。

 

「やらしーな、桃果のココ」

「……っや……ぁ……」

 

 透明な滴りが、一筋。

 また一筋と、膝からふくらはぎまで伝っていく。

 慧はゾクゾクと身震いした。

 蜜の量は欲情度合い。

 あの負けん気の強い桃果を、こんな姿にさせているのはこの俺だ。

 ……なんという愉悦……!!

 肉体面の感覚だけではない。

 精神面で得る、この胸躍る感覚こそ、慧が求めていたものだった。

 情欲の蜜を貪ろうと、床に達しようとしていた一筋を舌ですくう。

 

「……ぁあ……あっ……!!」

 

 ビクンと震える脚を伝う渓流に添い、舌を這わせる。

 足首からふくらはぎ、膝、太もも、そして脚の付け根。

 

「んっ……ぁ、ああっ……あぁあ……!!」

 

 まだ泉には立ち寄らない、もっと観察したい。

 桃果の片脚を再び自分の肩に乗せ、桃の花びらを指で開花させる。

 

「ゃ……やぁあ……!」

 

 迫る慧の吐息を感じる。

 だが、あらがえない。

 次の動向を待ってしまう。

 慧は迷わず、花びらに隠れた小さな蕾を見つけた。

 指に蜜を絡めて、そっと蕾を愛でる。

 

「……っあ!! ……ひぁああっ……!!」

 

 最も敏感な感覚を持つ部分に触れられてしまった桃果は、しかしその悦びに体を震わせた。

 ゆっくり、ねっとりと……蕾を優しく、磨くように撫でる慧。

 

「ぁっ……は、ぁあっ……慧……っ!!」

「熱いな、桃果のクリトリス。ここが感じるのか?」

「ふぁあ、あっ……ぁあっ……」

「気持ちいいのか?」

「ぁ、んっ……!! ぁああっ……!!」

「……なぁ。答えろよ」

 

 キュッと、蕾を摘み採るように指で捻られる。

 

「ひァあっ!! ……あ、ぁあああっ……!!」

 

 ビクン、と反応する桃果。

 

「……きもち、いぃっ……、気持ちいよぉ……!!」

 

 分かりきったことを言わされ、桃果は半ばムキになって答える。

 それがいかにも桃果らしくて、慧は自然に笑みが浮かんだ。

 

「……だろ?」

 

 ……あ、

 昔と同じ慧だ……

 

 人をからかうくせに、屈託のない笑顔を浮かべるから、昔はつい許していた。

 

 もっと自分を

 さらけ出せば

 いいの……?

 

 でも、それはなかなか難しい。

 

「……桃果、クリトリスでイかされたいか?」

「……っ……ぅ、ん……」

 

 臆したが、懸命に従う。

 

「いっ……き、たぃ……」

「じゃあちゃんと、おねだりしてみろ」

「……ぁっ……わ、私、……ク……リ、トリスで……慧に、イかされたいっ……!!」

 

 こんなことを口にするのは、かなりの抵抗がある。

 頬が熱い、体が熱くなる。

 

「ん。よく出来ました」

 

 慧は満足そうな顔でうなづく。

 桃果はそれが見たくて、頑張ったようなものだ。

 

 ……SEXって、

 お互いの全てを

 見せ合うことなのかな……

 

 慧の意地悪を、自分なりの解釈で納得しようとする桃果。

 だが慧の求めるものは、そんな生ぬるいことではない。

 

 まずは桃果を快感に狂い咲かせ、溺れさせたい。

 花びらを右手で開かせたまま、左手の指の腹で蕾を擦る。

 

「っあ、あぁ……!! ぃや……ぁっ……慧……っ」

 

 桃果の「嫌」に、その意味は含まれてないことは承知だ。

 敏感な蕾を、指の腹で丸くなぞる。

 

「ふぁああっ……ん、……ぁ、ああっ……!!」

 

 愛撫されるたびに膨らんでいく桃色の蕾。

 震える花弁は熱を持ち、透明の蜜をまとい、自ら開花し始める。

 桃果が待ち詫びた快感……しかし思った以上のそれは、慧が最も恥ずかしい場所を見て、触れているから。

 慧が導く淫らな情熱は、自分で触れる刺激とは比べ物にならない。

 こんなに気持ちいいなんて……

 もう、ダメ……!!

 

「……ぁあああ……!! あ、んはぁあっ……あ、ぁああっ、……あぁ――……!!」

 

 あっと言う間に高みへともっていかれる。

 背中を反らして全身を震わせると、熱い蜜が自分の太股を伝い落ちるのを感じた。

 快楽に溺れ、早すぎる絶頂を迎えてしまった桃果。

 だが慧は相変わらずの愛撫を、わざと止めない。

 

「んんン……っ……は、ぁ……んっ……慧っ……!!」

 

 絶頂を迎えた体は、快感を受け止めきれずに触れられるのを拒絶する。

 ますます激しく愛撫する慧の指から逃れようと、桃果は体をくねらせる。

 

「慧っ……ぁあ、ゃ、め……いやぁあっ……!!」

「嫌って何だ。まさか桃果、もうイッたのか? 言わなきゃ分かんねーよ」

「……っ……ぇ……」

「いーか、今度はちゃんとイくって言いながらイけよ」

 

 慧は桃果の蕾にそっと唇を押し当てる。

 

「ひ ゃ……ああぁっ……!! ぁ……慧っ……!!」

 

 蕾を舌で味わおうと、じっくり丁寧に舐めまわす。

 

 慧の舌が……

 そんなとこ

 舐めるなんて……!!

 

「ぁああ……っん!! あ、ぁああっ、んぁああぁ……!!」

 

 一度満たされたはずの欲望が、再び湧き上がる。

 羞恥を覚えるほど恥部は敏感になり、花弁は充血して腫れあがる。

 快感をより貪ろうと、蕾は大きく膨らむ。

 そうして狂い咲く花を目で堪能しながら、慧は舌先で、舌全体で蕾を味わう。

 指も参入させ、代わるがわるに徹底して嬲る。

 

「ゃ、あ……!! そ、んなっ……ぁあああ!! ひぁあっんン……!! いや、ゃっ……やぁああ……!!」

 

 ……もっとだ

 もっと聞かせろ

 

 唇で蕾を包み、吸い付く。

 怯えるように震えるそれを、容赦なく深追いする舌と指。

 もう片手で花びらを摘み撫で、滑る蜜が音を立てる。

 

「あ、あぁああ!! 慧、あぁっ……そ んな、そんなにしたらっ……だめぇえ!! ぁ、あっ、ああぁっ……!!」

 

 舌と指で違う刺激を与えられ、激しい快感に責め立てられる。

 

 ……そんなにされたら

 もうダメ……

 またイっちゃう……!!

 

「イきそうか?」

 

 悲鳴を上げるように、わななく蕾に気付かれる。

 

「……っき、そ……ぅ……!! ぁ、んああっ……!!」

「なら、ハッキリ言葉で言わねーと……」

 

 慧が喋る度に、舌の愛撫が止まる……つまり、絶頂へと到達するのを焦らされる。

 

「……言う……よぉ、いうからぁあっ……!! はや く、イ……ぁあ……イかせてぇえ……っ……!!」

 

 桃果の切望を聞くと、慧は満足そうに笑った。

 再び蕾を指で、舌で磨きあげるように、わざと音を立てながら執拗に揺さぶる。

 

「……あぁああ……も、ぅ、……だめぇえ!! あぁあ、あっ、んっ……慧……っ!!」

 

 絶頂を迎えつつも、桃果には言うべき台詞があり、それに従った。

 

「……ぁあぁ!! あ、ぁあっ、……イ、っちゃ、う、ぁ、ああッ、イくっ、イくうっ、あぁあぁぁ……!!」

 

 張り詰めた快感の緊張の糸が切れても、緩やかな舌の動きは止まらず……

 桃果は慧の徹底した責めに、体を震わせ心地よい余韻に浸っていた。

 

 桃果の声がすすり泣きに代わると、慧は彼女を縛っていた縄をほどく。

 支えを失い、桃果はぐったりと慧に寄りかかった。

 まだ震えている肩を抱き、慧は桃果の耳元に囁く。

 

「今度は、俺のをしてもらおーか」

 

 桃果はその吐息に、ゾクリと背中が痺れた。

 次は、自分が慧の体に触れる。

 縄は解かれ、解放されても桃果は逃げなかった。

 本当なら、今頃は見知らぬ中年男に、どんな目に合わされていたか分からない状況だ。

 でもそれは、……慧のせい。

 気付けば幼馴染みが先に大人になり、何人もの女の子と体をつなげているかと思うと、桃果は慧に置いていかれる気がしていた。

 体だけの関係なんて……と否定しつつ、興味が無いわけはなく、あせってしまった。

 

 早く処女を捨てたい

 誰でもいい、学校外で

 知らない人なら……

 

 そう思い、出会い系サイトで適当に相手を見繕っただけ。

 しかし慧に止められ、今度は処女を奪われようとしている。

 逃げないのは、承知の上だからだ。

 

 慧なら……違う、

 本当は、慧に

 されたかった……

 

「やってみろよ、さっき指にしたように」

 

 棒立ちのまま、衣類を脱がすことから始めろという意思表示に、桃果は従うことにする。

 慧の腰のベルトを外し、デニムとボクサーパンツを下ろしながら俯く。

 

「なに目ェ反らしてんだよ。弟の見たことくらいあるだろ」

「だ、だって……」

 

 しゃがんだ桃果のすぐ前にあるモノに、おずおずと視線を向ける。

 兄弟のモノとは違う、慧の隆々とした欲望のたかぶり。

 

「好きにしてみろよ」

「う、うん……」

 

 男の裸に触るのは初めてだが、桃果の緊張より興味が勝った。

 

 超デカイし……

 なんで勃ってるの?

 ……私を見て、勃つの?

 

 血潮をたぎらせ天にそびえる一物に手を伸ばし、指先で触れてみると、想像していたよりも硬く、熱い。

 

「ひゃっ……」

 

 片手でやんわり肉棒を握ってみる。

 

「すご、硬い……」

「それ、シコって」

「しこる? ……こう??」

 

 撫でるように上下に動かしてみる。

 

「っそ……もっと力入れて平気だから」

 

 加減を探りながら強めに握り、擦ってみる。

 

「くっ……あと、玉も……」

 

 もう片方の手で、陰嚢に軽く触る。

 柔らかく揉んでいると、にじみ出る先走りに気付き、人差し指に取ってみる。

 

 オトコも

 濡れるんだ……

 

 桃果は感心しながら親指と人差し指でぬるぬると塗り広げる。

 

「ちょっ……亀頭はヤバ、イ……」

「え?」

 

 手を払いのけられたものの、慧の途切れた声からは、嫌がった様子は感じられない。

 慧のペースを少しでも崩したことに桃果は小さく笑う。

 もっと、普段とは違う慧を見てみたい。

 そんな悪戯心が桃果の中に顔をのぞかせた。

 

「次。舐めてみろよ」

 

 舐める、それは舌で触れて愛撫しろということ。

 他の女の子もしたことなら、桃果だけしないわけにはいかない、負けたくない。

 桃果は両手を床につき、猫のように、慧の双丘をペロペロ舐めてみる。

 そのまま竿に舌を這わせ、下から上へと舐めあげる。

 

「……っ!!」

 

 舌を這わせ、これでいいのかと首を傾げて慧を見上げる。

 

「っは……桃果……」

「……ん」

 

 桃果はカリ首を舌で舐め、小さく反応のあった尿道あたりをじっくり責める。

 唇を滑らせ亀頭部分全体を口に含み、舌を上下左右に不規則に動かす。

 

「オ……マエ、……やるな」

「……んっ……」

「手も添えて動かしてみろよ」

 

 再び手でつかみ、握って擦る。

 唇から伝い落ちる唾液が潤滑油のように指を滑らせ、加速していく。

 

「あとは……さっきみたいに、吸ったり、……っ……」

 

 そう言われても桃果にとって、指の何倍も太いものを吸うのは大変だった。

 口内の空気を減らして軽く吸いあげながら、舌でも刺激する。

 手も忘れず、強弱を付けて何度も擦る。

 激しく攻めたいのに、慣れないせいでアンバランスでムラのある愛撫になってしまう。

 慧の反応が見たいと思っても、いいところで突き放してしまう。

 

 ……コイツ、

 フェラの才能

 あるな……

 

 慧は桃果の加減に焦らされ、体の熱が高められるのを感じていた。

 次第に弾む慧の呼吸に、桃果は聞き耳を立てる。

 慧の切なげな瞳を目の当たりにして鼓動が鳴り、桃果は懸命に愛撫を続ける。

 その甲斐あってか、慧は両手で桃果の顔を撫で、つかみ、震えた。

 乱れた呼吸の中、大きく息を吸い上げ、――思い切り解き放つ。

 

「――……っ…!!」

 

 熱い欲望が脈打つ。

 射精しながらも、まだ出る快感の雫。

 

「……は、っ……」

 

 口内に放出された桃果は驚くより、成果を得られたことを喜んだ。

 初めての味覚を味わい、飲み込んでみる。

 

「慧の、味だ……」

 

 汗ばんだ笑顔を見せる桃果に、慧は虚脱感に浸りながら、ハッとした。

 

 しまった、

 なんか

 負けた気がする……

 

「テメ……あとで顔にブッかけるからな」

「ええ!? 飲んじゃダメだった!?」

「そーじゃねーよ」

 

 快感を与え思い知らせるつもりが、これでは立場が逆転している。

 

「床じゃ痛いだろ。ベッドに上がれよ」

「あ……」

 

 桃果はロフトのベッドに昇るはしごを見上げた。

 慧が上がるのを待つつもりが、そんな必要はなかった。

 

「先行け。見ててやるから」

「見っ……!? へ、変態!!」

「いーから上がれよ」

「……!」

 

 今さら慧に立てついても無駄だ。

 桃果は仕方なくはしごに手をかけ、もう片手でお尻を隠して段を上がる。

 

「手が邪魔だな」

「み、見ないでってば!!」

「いーから。見せろよ」

「……もうっ」

 

 片手では昇りづらいと判断し、桃果は仕方なく手を離す。

 一段ずつ、脚の動きにともない尻が揺れる。

 

「いい形の桃尻だな。しかもまた濡れてるし。しゃぶって感じたのかよ」

「ち、ちがっ……」

「早くエッチしたかったんだろ? 今度は指なんかより太いのをソコにくわえるんだからな」

「……っ…!」

「入れられたくないのか?」

「……ぅ、……入れられ、たい……」

「ハハッ、素直になってきたな」

 

 意地悪な問いにも、ちゃんと答えるようになった桃果。

 続いて慧もベッドに上がり、黒いシーツの上で座り込む桃果の髪を撫でる。

 

「順番、狂ったな……」

「……え? あ……」

 

 慧の目線の先。

 少し厚めの唇。

 桃果は目を閉じ、そっと重ねられる温もりを感じた。

 一度離れ、もう終わったかと思えば、今度は舌で唇を舐め、口を開けさせ桃果の舌を探り当てる慧。

 舌を絡めて激しく掻き乱しては、小鳥のように優しくついばむキスをしたり。

 いたずらに口づけをする慧に、桃果は小さく笑った。

 緊張を解す、甘い戯れ。

 知らずに魔法をかけられる……。

 ゆっくりと押し倒しながら首筋に舌を這せる慧に、桃果は心地よい悪寒に身震いする。

 慧の指は桃果の胸の膨らみを揺らして乱し、舌は桃色の小さな実を摘む。

 

「っ……ぁ、んっ……慧っ……」

 

 もはや桃果は抵抗せず、おとなしくされるがままでいる。

 普段の態度からは想像しがたい姿だ。

 ……そう、いまや桃果は完全に自分のモノ。

 血湧き肉踊るあまり、先に魔法にかかったのは、慧かも知れない。

 

「はぁ……はぁっ、慧…っぁ、あっ……!」

 

 下降する指は花園を探り、蜜を絡めとる。

 

「んっ……ぁ、……ぁああっ……!」

 

 慧は花びらをかき分け、花陰に中指を突き立てる。

 

「コッチは初めてか」

「ん……、慧…っ……」

「そんな泣きそうな顔すんな。もっと泣かせたくなる」

「な……、っぁ……あっ……ああぁあ……っ!!」

 

 ゆっくり沈んでいく指を、路は狭いながらも受け入れる。

 

「っ……ぁあああ……っ……!! ひァっ……慧っ……!!」

 

 熱く鈍く響く、生まれて初めての感覚。

 閉じた壁を無理矢理にかいくぐる指に、桃果は恐怖を抱く。

 

「あっ……ぁあっ……!! や、だめっ、……やぁああっ……!!」

 

 戸惑う桃果を無視し、慧はさらに奥までを指で犯す。

 そして最奥に至り、行き止まる。

 

「はっ……ぁっ……慧……んっ……!!」

 

 すかさず退く。

 そしてまた、じわじわと攻める。

 

「ぁああぅっ……!! あぁ、あっ……ぁああん……っ……!!」

 

 未知の領域に、ずかずか踏み込み行き来する慧の指。

 

 怖い……

 自分がどうなるか

 分からない……!!

 

「ァあぁ……!! っあ、や、ぁあっ……ぁあああ……っ……」

「狭いな……2本いくぞ」

「や、やだ……っひぁ、ぁあああ……いたっ……痛いよぉ!! ……ぁああ……っん……!!」

 

 異物がさらに幅を広げ、押し分けるように侵入してくる。

 その度に、桃果への当て付けのように蜜が音を奏でる。

 

「や、……ああぁ!! ぁっ、だめっ……ぁ、やだぁああっ……!!」

「ヤダとかダメとか言う割には締め付けるな、お前のココ」

「そ……んな、ぁああっ……!!」

 

 体は極度の緊張により過敏に反応し、侵入物を招くために際限なく蜜を垂らす。

 

「っゃ……あ、んぁあっ、あぁぁ……っ!!」

「……ここか」

 

 桃果の体がひときわ大きく跳ねる場所を見つけ、慧の指は重点的にそこを擦りあげる。

 曲げた指の腹で撫でるように、2本の指で交互に擦る。

 

「あ、ぁあっ……!! やっ、やぁああっ!! あっ、だめ、ぁああ、慧……っ……!!」

 

 声を、息を弾ませ、桃果は不慣れな感覚におびえる。

 

「っひ、ぁあああ……!! ああ……あああっ……!!」

「桃果。コッチでもイきたいか?」

「あっ……なに、……イ、く……!?」

「そうだ。女はココでもイける。俺がイかせてやるっつたら、どーする」

「っ……や、ぁっ……きたい、イきた、いっ……!!」

 

 涙声の素直な返答に、慧はフッと笑い、指を抜く。

 

「……んっ、ぁ……?」

「桃果。お前は、俺のモノでイかせてやるよ」

「あっ……」

 

 慧自身を桃果に当てがい、蜜を塗り付けるように花びらの上を滑らせると、桃果は身をよじる。

 

「んんっ……はぁっ……ぁっ……慧……怖い、よ……」

「痛くない、とは言えない」

「っ……」

「だから麻酔変わりに、痛みを快感に変えてやろーと思って」

「え……?」

「まだ、効いてこないか?」

「な……なに、効くって……何……!?」

 

 事態が飲み込めない桃果は、まだ体の異変を自覚してないようだ。

 口の端をクッと上げ、慧はネタばらしをする。

 

「キスの味は、どうだった? 桃果」

「……!?」

「さっすが、無味無臭……」

 

 魔法の種明かし。

 慧は空の小瓶を取り出し、振ってみせる。

 

「……私に何か、飲ませたの……!?」

 

 反射的に口元を押さえた桃果は、ふと……慧を見上げた。

 

「慧も……飲んだの……」

 

 よく見れば、慧はすでに軽く息を乱し、全身にうっすら汗を浮かべていた。

 ペロリと自分の唇を舐め、渇きを潤そうと、鋭い眼光で果実を狙っている。

 

「……効くな、コレは……何回ヤれっかな……」

 

 慧の罠に、跳ねあがる桃果の心音。

 ココロにも効能有り?

「いくぞ。力、抜いとけよ」

「や、待って、ま……ッア、ぁあああっ……!!」

 

 慌てる桃果に構わず、慧は渇望を満たそうと一気に自身を埋めた。

 慧を押しのける狭い壁は、奥に進めば包むように絡み、濡れた熱で圧迫する。

 蕩けるような快楽の海に溺れ、目眩がしそうだ。

 

「ひぁっ…やっ、やぁっ、痛いよ慧っ、やぁああっ……!!」

 

 強引な淫茎に手折られ、花がわななく。

 麻酔はまだ効かない。

 

「力、抜けって。コッチは感じるだろ?」

 

 痛みに萎縮する淫蕾を、慧は根元から揺り起こすように撫でまわす。

 

「だ、だめそんなっ、あっ、ああぁ……っ!」

「桃果はクリいじられんの、大好きだもんな」

「あぁっ、あぁっ、んっ…んぁああ……!!」

 

 なだらかな往復を始めながら、指で突起を揺さぶる慧に、痛みと快楽の両方を与えられる。

 訳が分からなくなる……

 裂かれる熱さえ、悦楽に取り込んでしまいそう。

 

「ひぁあっ、や、あぁぁっ、ああぁっ……!!」

「くっ、狭いな、桃果」

 

 慧は桃果の両足首を持ち上げ、蠕動する膣壁の中を捻るように捩じ込む。

 

「やっ、こんなカッコ…あ、ああっ、ぁあああ……っ!!」

 

 速度を乗せた体重が一点に圧し掛かり、奥深くまで負荷が響き渡る。

 大きく開いた花弁は涎を垂らして慧を受け入れ、慧の指に踊る蕾は赤く膨らんでいく。

 慧に犯されながら、桃果は目の前に火花が散るのを見た。

 

「――ッ……ア、あっ、あ……っ!」

 

 痛みの中に生まれる違和感。

 桃果の知らなかった熱情を、掘り起こされる――。

 

「ぁ、あつ、い……っ!! 熱いよ慧、あ、あっ……!!」

「やっと効いてきたか」

「怖いよっ…なんか、体がっ…へんなの、たすけて、やぁ…っ!!」

「楽しめよ。媚薬のお陰で、ハンパなく気持ち良くなれるぞ」

「んんンぁっ…あ、あぁあぁぁ……っ!!」

 

 痛みを快楽へと誤変換する感覚神経。

 桃果が泣き叫んでも、慧は腰の動きを加速させる。

 

「あぁっ、やだ、そんな動いちゃっ…ぁあんっ、やぁぁっ、ああぁっ!!」

「気持ちいいんだろ? ココは悦んで俺をくわえてるぞ」

「ゃあっ…だって、っんんぁあ、あぁっ、も、やめてぇっ、やあぁぁっ!!」

「ダメだな……俺も、ヤバイんだよっ……!!」

 

 慧の額から汗が伝い、呼吸のリズムは荒れている。

 扱いが乱暴なのは、余裕をなくしているからだ。

 奥深くまで根差す慧の体温に、求めているのは快楽と、そして自分、

 そんな甘美な熱に倒錯する。

 

「あぁっ、ぁ、んっ……慧っ、ぁっ、あぁぁぁっ!!」

「くっ……すげ、ナカで締め付けて動く……」

「あぁあっ、やっ、もぉだめぇっ、いっ…く、イッちゃ、ぁあっ、あぁぁっ……!!」

 

 押し寄せる狂喜の高波に飲み込まれ、桃果は絶頂に溺れた。

 白い喉を逸らして声を荒げ、肢体をわななかせて快楽にふける。

 なおも圧搾しようと狭まる壁に、慧は逃れるように自身を引き抜いた。

 

「くっ……はぁっ、あっぶね……!」

 

 桃果の腹の上に熱い快味を放つ。

 出しても出しきれない。

 満たされず、渇望に自身は威力を失わない。

 

 処女、

 奪われちゃった……

 

 桃果がそんな感情に浸る間もなく、慧はなおも猛る己の切っ先を向けた。

 

「……全っ然、おさまんねー」

「え……」

 

 桃果の回復を待てない慧は、ぬめりの音を立て侵入する。

 

「ひぁ…っあ、あぁぁっ……!!」

 

 激しい摩擦に蜜を吐露する花壷。

 慧が桃果を揺さぶるたびに淫靡な音を立て、シーツを濡らしていく。

 

「すげー量の愛液だな」

「んっ…やぁ、慧っ、あぁ、ああぁ……っ!!」

 

 慧は桃果の腹の上に放った白濁の体液を指で拭い、桃果の口元に含ませる。

 

「んんんっ……」

 

 唇を指で開けさせると、桃果は甘い音色を高らかに奏でる。

 

「あぁあっ、はっ…ぁああ、あ、はぁっ、ああぁ……っ!!」

 

 鋭く埋め込まれる度に、体の芯が熱くなる。

 甘い喘ぎはさらに弾み、乱れる。

 

「ふぁああ、ぁああっ、あ、……んぁあ!! あ、あぅっ、あぁあっ!!」

「悶える桃果、カワイイな」

 

 桃果の唾液が糸引く指を、慧が舐めた。

 どきんと鼓動する胸に、桃果の恥部も昂る。

 

「あ、あっ、慧、私っ…感じちゃうよ、あぁっ、あぁぁっ!!」

 

 慧を貪るように包む膣の蠢きに、飲み込まれそうになるのを堪える。

 

「やらしーな。そんなに気持ちいいのかよ」

「んんン……っ!! ふぁっ、……ぁああっ、き、もち、いぃっ……!!」

 

 シーツを逆手に持ち、せり上がる熱情を受け止めようと構える。

 歓喜に泣き濡れながら乳房を揺らす桃果に、慧はその弾力を手の平におさめた。

 

「コッチもイイんだろ?」

「あ、あっ、んぁああっ……!!」

「はっ……小さい乳首も勃起してんぞ」

「ゃぁあっ、ふぁ、っあ、んんぁあ……っ!!」

 

 慧の指に愛でられ、桃色の実が固く育つ。

 桃果の中枢では花壷が悦びに伸縮し、慧を逃すまいと絡む。

 

「……く、……っ……」

 

 桃果をからかうと倍以上の快楽に返される。

 操作も紙一重だ。

 だが、連れていきたい。

 

「も……ヤバイ、イくから……桃果も、来い……!!」

 

 蜜を垂らす花弁の上で、情欲に赤く芽吹いた淫核を摘み採る。

 

「あっぁあああ……っ!! あっ、だめぇっ、そこっ、そ…んなに、されたらぁっ……!!」

 

 敏感な肉芽を嬲られ、桃果は涙に濡れた声を荒げる。

 花園を荒らし、蕾を毟る慧に、自らも腰を打ちつけて快楽を貪った。

 

「あぁっ、ふぁあっ、もぉっ、いっちゃ、イッちゃうよぉぉっ……!! あ、あぁあああ――…っ!!」

 

 桃果は体内と体外で絶頂し、なおも続く律動に放心のまま体を震わせる。

 蠕動する膣内に追い詰められ、慧も熱い雫を放った。

 

「はっ……く、……っ!!」

 

 快楽の極致。尽きない欲望。

 

 すげー効き目だな

 顔射どころか

 外出しが精一杯だ

 

 媚薬の灯した欲火によって、体の芯が灼けつくように滾る。

 漆黒に映える桃果の肌は白く浮き上がり、熱気にかすかな花のにおいを交えて慧を誘う。

 

「四ん這いになれ。後ろから突いてやる」

 

 手の甲で額の汗を拭い、息を荒げる慧の目は座っていた。

 桃果が背中を向けると腰に手を置かれ、低く構えるよう促がされる。

 そしてすぐ、灼熱の体温を捻じ込まれた。

 

「ああぁ……っや、だめ、いっ…た、ばっかりだからぁっ……!」

「駄目じゃねーだろ、まだイけるだろ」

「いやっ、あっ、ふぁっ、あぁぁっ……!!」

 

 桃果が身をよじると、腰をベッドに押しつけられ、深々と杭を打ち込まれる。

 胸をつかんで突き上げられる衝撃に、桃果はシーツをつかんで耐える。

 

「んんっ……ぁああ、あ、ああっ!!」

 

 貫かれるたびに肉付きのいい柔らかな桃尻が弾み、その反動でさらに鋭く慧が入り込む。

 

「あぅっ、ぁああっ、あっ、慧、あぁぁ……っ!!」

 

 慧が淫唇を指で広げると、桃果はいやいやと首を横に振りながら、窄まりをきゅっと閉ざす。

 まだプライドを捨てきれないのか嫌がる素振りを見せる桃果は、しかし耐えきれずに自ら腰を振る。

 

「桃果、お前、自分でクリいじってみろよ」

「やぁっ、やだぁっ、そんなの……っ!」

「いじって欲しそうに勃起させといて何言ってんだよ」

「ちがっ…だって、これはっ……」

「分かってるって。薬のせいだよな。だから触ってやんねーと、お前のクリが可哀想だろ……」

 

 耳元に生ぬるい息を吹きかける慧に、桃果の蕾はびくりと震えた。

 そうだ、あの薬のせいだ。

 媚薬のせいでこんなに疼くから、仕方ないんだ。

 桃果は自分の右手を下腹部に向かわせると、慧に晒される恥部から愛液が滴り、肉粒を尖らせている。

 

「ぁ…ぁあっ、ふぁっ、あぁぁ……っ」

 

 ためらいがちに触れると体が弾んだ。

 撫でまわすと、小さな淫核はとてつもない快楽を生み出した。

 慧に突かれながら、桃果は必死で指を動かした。

 

「あぁっ、やぁっ、あぁあぁぁっ……!!」

「おいおい桃果、お前、俺にヤられながらオナるとか、すげーやらしーな」

「だって…っ、あぁぁっ、慧っ、慧……っ!!」

「学校でバラしてやろうか。桃果は自分でクリいじり倒してるってな」

「そんなっ、あぁっ、あっ、ふぁああぁっ……!!」

「そう言いつつ、やめらんねーんだろ。思う存分イきまくれよ」

「ぁあっ、はっ、……ぁ、あぁぁっ、イく、イくぅっ……あぁあぁぁ―――……!!」

 

 恥も外聞も忘れ、無上の悦びを前に、落ちていく。

 

「はぁ、はっ……あっ、もっ…と、してぇ……慧、やめないで、まだ、もっと、ほしいよぉっ……!!」

「何を、どうしてほしいって?」

「私の、ここっ……に、慧の…が、もっと……いっぱい、ほしい…の……!!」

「ダメだな。もっとちゃんと言え。桃果の知ってる言葉で」

「……私…の、お…まんこ……を、慧の…ちんこで、いっぱい突いて……っ、はやくぅ……っ!!」

「ハハ!! 下品だなぁ桃果!!」

 

 強気で意地っ張りな桃果はいまや髪を乱し、花弁を開き蜜を垂らして慧を招く。

 滑稽ながら淫らな痴態だ。

 

 手を下したのは自分

 足を踏み入れたのは桃果

 

 慧は高揚する気持ちを隠しつつ、ほくそ笑む。

 しかし満たしてしまえば、どこか虚無感すら覚える。

 何が欠けているのか、慧はまだ知り得ない。

 今はただ、欲望の惰性に身を任せるのみ――。

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

「……おかあさんの顔、見れない」

 

 満月から顔を背けて土手を歩く桃果は、むくれて唇を尖らせていた。

 冷めない体のほてりは、まだどこか燻っている疲労感。

 歩くのが遅いと手を引く慧につれられ、桃果はふくれっ面のまま、少し後ろを歩く。

 

「とうとう桃果も女になったからな」

 

 振り返ると、慧はいたずらな笑顔を浮かべていた。

 人をあんな目に遭わせておいて、全く悪びれないでいる。

 桃果はさらに口を尖らせる。

 

「……やっぱり慧、サイテー」

「あ?」

「私、もう二度と、慧とこんなことしない……」

 

 体を重ねただけで、相手を手に入れられる訳ではない。

 慧に関わった女の数、そのうちの一人になっただけ。

 

「あっそ? じゃ手を放せよ」

 

 砂利道を蹴るように歩いていた慧は、その足を止めた。

 しかし手は握ったまま。

 引き止めはしない、離れるなら桃果から。

 そう言っているように。

 慧のように心を置き去りにしたまま体を繋ぐ、それは気楽かも知れない。

 興味とか遊びとか、焦りとかスキルとか経験とか自慢とか。

 桃果こそ、初めは誰でも良かった。

 慧以外の男なら、誰でも。

 

「……ケータイ。また鳴ってる」

「後でいい」

「……」

 

 だれ?

 女のコ?

 ……どのコ?

 

 自由奔放な慧を縛ることはできないだろう。

 SEXを楽しむだけで、誰に対しても本気じゃない。

 そしてそれは、桃果にも。

 

「私……やっぱり、恋人とかのカタチでエッチしたい」

「すげー進歩だな。なら出会い系はもう……」

「しないよ!! 今度はちゃんと彼氏見つける。慧よりも、いい男」

「そりゃ難しいな」

「バカ。……送ってくれて、ありがと」

 

 桃果は慧の手を離す。

 

「もうすぐ家だし、一人で帰る」

 

 虚空を掴む手を頭にやり、慧は自分の髪をかきわけた。

 

「そーか。じゃーな」

「ばいばい」

 

 桃果は背筋を伸ばし、砂利の上をヒールで真っ直ぐに歩き出す。

 これでいいんだ。

 慧が軽い男で良かった。

 いっそ振っ切れる。

 初めてが慧で良かった。

 想い出になる……。

 

「ったく……一度くらい、振り返れよな」

 

 体を繋いだことで、慧の中で桃果は「ただの幼なじみ」以上になった。

 情くらいは移る。

 

「俺と性春しよーぜ桃果、とか言えばよかったかな。ま、去るものは負わず、か」

 

 土手を折り返すと、目の前の闇には月が浮かぶ。

 黒いシーツの上で濡れる肌の色を思い出した。

 あの時だけは、桃果は慧のものだった。

 

「つかキョーレツすぎて、しばらく頭に灼き付きそーだなー」

 

 カタチにはならなくても

 キオクには残るよ、

 桃果。

 

 

 ・ ・ ・ ・ ・

 

 一ヶ月後。

 いや一ヶ月もしないうちに、桃果には新しい男ができた。

 それを掃除の時間、桃果の元にやってきた本人から聞かされた。

 

「バイト先の大学生なんだけどね、すっごい面白い人なんだ!!」

「はーん。で、もうヤッたのか」

「もー、慧とは違うの!! ……あのね」

 

 箒を持つ慧の耳元まで唇を寄せ、桃果は声をひそめる。

 

「エッチはヘタだけど……愛があるから、キモチイイの」

「やっぱヤッてんじゃねーかよ!」

「し――っ!! もおぉ慧、本当サイテー!!」

 

 ベーッと舌を出し、桃果は背中を向けて慧のもとから去っていく。

 

「なんかさぁ、最近桃果の感じ、変わったよな~」

 

 傍らでふたりの様子を見ていた男子生徒が、塵取りを構えてしゃがんだまま呟く。

 

「男が出来たせいか、ツンケンした女王様じゃなくなった……」

「なんだよ、マゾ的にはガッカリなのかよ」

「ガッカリ……」

「はは、バーカ」

 

 M男を鼻で笑いつつ。

 桃果を女にしたのは自分だと言おうとしたが、やめた。

 なかったことにする訳ではないが、固執することでもない。

 しかし……

 

「愛ねぇ……」

 

 今の慧には興味がない。

 快楽へのスパイスの一つかも知れないが、面倒なシロモノだ。

 

 ……つーか

 俺のことはもう

 どーでもいーのかよ!

 

「はーぁ。なにが愛だよ」

 

 箒の上で腕を組み、あごを乗せて短く息をつく。

 と、後ろから中学からの後輩がやってきた。

 

「慧先輩~!! やっと携帯買ったんで、あの……メアドと番号、教えてくださいっ」

「おうマナミ。……オマエ、SMって興味ある?」

「はい?」

 

 男の宿命。

 エロスの野心は

 果てなくどこまでも。